分子シュミレーションとは
化学というと実験のことを指す場合が多いが、分子がどの様に動いて反応しているのかを実際に考えるのは難しいです。なぜなら、分子はアボカドロ数のオーダーで効いてくるためにどのような反応をするのかを人間が理解するのは不可能です。ですが、もし一様な粒子ならば、統計力学という手法を用いて解析することが可能です。ですが、今回は化学反応や複雑な化学系では、どのような反応が起こり、どのように分子が構造安定化するのかを知りたい場合にはどうすればよいのかを考えていきましょう。
分子軌道計算
分子数が100前後のミクロな分子の場合、量子力学の系を用いて計算することが出来ます。使用するプログラムはGaussianもしくはGAMMESを用いる場合が一般的です。大学に所属している学生の場合は有料であるGaussianを使用することが出来るかもしれません。この場合は、基底関数というものに注意しなければいけません。基底関数というのは、どれくらいの精度で計算をするのかというもので、厳しければ厳しい程現実世界の分子に近い状態になると考えられますが、計算量が指数関数大に大きくなるという欠点があります。Gauaaianの場合は、非経験的分子軌道計算、つまり、経験的分子軌道計算(MOPAC:無料ソフトウェアが有名)とは異なりかなり厳しい精度で計算を行うことで有名です。ちなみに、経験とは理論値だけではなく、複雑な系の場合は実験値でも妥協するよという意味です。なので、GaussianよりもMOPACのほうが扱いやすいです。なので、ある程度複雑な分子を扱いたいという願望がある場合は、簡易な分子動力学計算をAvogdroというソフトウェアを用いて構造最適化させた後に、MOPACを用いて構造を整えた後にGausianで既定の精度を少しずつ上げた行くというのが主な手法になるでしょう。
分子動力学法
分子動力学法は、比較的大きい有機化合物つまり、タンパク質や核酸など複雑な分子構造の形状を調べたり、溶液中の反応を調べたりするのに使用します。主に生体内の反応や水和反応、細胞膜の流動モザイクモデルといったダイナミクスを観測するのに使用されます。
個人的におすすめな無料ソフトウェアはNAMDとAmberです。
Amber
AmberはPDBファイルという生体タンパク質メインで使うことを想定されているプログラムです。なので、PDBの文法にある程度慣れておくと良いでしょう。
Gaussianを使う場合は、力場ファイルの作製をしなければならないため、logファイルをopenbabelなどで、mol2ファイルに変換してから力場ファイルを作成しなければなりません。このことについて詳しく知りたい方はtwitterにDMください!!
Amberは長岡先生の本が有名なので載せておきます!!
また、文字だけだと挫折してしまいやすいと思うので、動画のリンクも載せておきます。このように、Amberは難しいですが、いろいろな情報源が使用できるといった点が魅力ですね。
一応まとめておくと、
PDB,mol2ファイル→prmtop,incrd→mdcrd,ncファイル
と作成していき、prmtopとmdcrd(もしくはnc)ファイルをVMDで読み込むとシュミレーションできます!!
NAMD
NAMDもAmberと同じで、生体タンパク質のシュミレーションをメインにしたソフトウェアだと考えられます。ちなみに、VMD上で動作します。なので、ダウンロードしたい場合は、VMDのサイトに行ってください!!
ポイントとしてはPDBファイルからDCDファイルを作ることです!!一応参考動画を載せておきます!!
まとめ
とりあえず、有料無料のものも合わせて分子シュミレーションに役に立ちそうなソフトウェアの情報を載せておきます!!
非経験的量子軌道計算
Gaussian 有料なので、大学などに所属している学生は無料で使えるかも??
Gamess 無料の量子化学計算ソフトウェアです
経験的量子軌道計算
MOPAC 無料な上にwindows環境ならすごく使いやすいです!!
分子動力学ソフトウェア
Amber 難しいですが、参考文献がたくさんあるのがメリット!!
NAMD プログラミングをせずにVMD上で操作できるのがいい
便利ツール
Jmol、VMDかなり複雑な分子を視るのに使います。jmolは軽いのでかなり使いやすいです!!
Avogadro 分子の形状を整えたり微調整を3次元でおこなったり、mopacやgaussianのインプットファイルを生成するのに使用します。
Open-babel ファイルの変換ソフトの王様
Gaussian以外は基本的に無料なので、是非とも使い倒してみてください!!
また何か知りたいことがあったらDMください!!